古民家を楽しもう!
【イベント】外国人による古民家体験ツアー
2011年7月16日(土)、沖縄古民家サポーター会議は八重瀬町安里にある上江門家(イージョー)にて古民家体験ツアーを開催しました。このプログラムは、古民家についてニュートラルな立場の外国人に体験プログラムを提供し、どのように感じるのかをモニタリングするもので、古民家の新たな価値や活用方法を検討することを目的に開きました。
ツアーの様子を簡単にご紹介します。
古民家の解説
ツアーには、浦添市国際交流協会の日本語クラスを受講している外国人・ボランティアあわせて12名が参加しました。
参加者はバスで八重瀬町安里にある古民家・上江門家に移動し、まず沖縄の古民家や上江門家の特徴の説明を受けました。間取りや建材など基本的な説明のほかに、屋敷を取り囲むフクギは防風だけでなく防火の効果もあること、上江門家のヒンプンは琉球石灰岩の切石を組み合わせたものであること、煙でいぶすため台所には天井板をはらないことなどを紹介しました。参加者は初めて間近でみる沖縄の古民家に、興味深そうに説明を聞いていました。
八重瀬産の野菜でカレー対決
その後は、2チームに分かれて昼食のオリジナルカレーをつくりました。古民家とカレーはあまり関連はありませんが、八重瀬町はカラフルベジタブルなど農産品振興に力を入れている地域なので、地産地消の考え方を学ぶ意味で、たくさんの野菜とスパイスを用いたカレーをつくり、みんなでおいしくいただきました。
参加者からは、「古民家で食べたり体験したりすると、味も違って感じられた」という感想が寄せられました。
古民家でヨガ
当日は台風の影響が懸念されましたが、幸い天気にもめぐまれ、木々に囲まれた上江門家には心地よい風が吹いていました。参加者は開放的な古民家でゆったりと休憩しながら、沖縄の文化を体感していました。
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ひとやすみしたあとは、家の中でヨガ体験です。初めてヨガをやるという参加者もいましたが、リラックスした雰囲気で楽しむことができたようです。なかには「畳のせいで鼻がヒリヒリした」、「蚊取り線香の匂いが嫌い」という日本人には思いもよらない感想もありました。
参加者の感想
ツアー後に実施したアンケートでは、参加者全員が沖縄の古民家を保全することについて「重要だ」と回答しており、「歴史や文化を理解することができるから」、「観光資源になるから」などの理由が挙げられました。また、「文化財の保護は自らの文化に敬意を払うことであり、残された文化財は自分たちのルーツや過去を知る材料にもなる」という意見もありました。
なんのために古民家を保護するのかという質問には、全員が「文化を継承するため」と回答しており、その他にも「景観をまもるため」、「ビジネスにいかすため」という回答もありました。
古民家に住んでみたいかという問いには、25%が「はい」と回答。「短期間なら住んでみたい」という回答は42%、「いいえ」という回答は33%でした。
「ガイドブックに載っていない場所へ行けた」、「貴重な経験ができた」という意見もあり、沖縄の古民家を体験するツアーは満足していただけたようです。また、「せっかく古民家へ行ったのだから、ヨガよりも古民家についての勉強を深めたかった」という意見(日本人)や、外国人を対象に古民家をガイドする際のアドバイスもいただきました。こうしたご意見は、沖縄の古民家を保全・再生・活用する今後の取り組みへ活かしていきたいと思います。
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ご協力いただきました浦添市国際交流協会および参加者、関係者の皆様にお礼を申し上げます。
上江門家について
上江門家は八重瀬町安里区にあります。グスク時代にこの地域を支配していた多々名按司(たたなあじ)の子孫と伝えられ、1700年代にこの場所に屋敷を構えたと伝わりますが詳しくはわかっていません。住宅は大正期に茅葺きから瓦葺きに改修されたと伝えられ、1960年にも改修が行われて現在の形になりました。戦前には主屋の東南側(現、便所・浴室)に「前ヌ家」があり、一階は牛小屋・馬小屋・山羊小屋、二階は高倉になっていたそうです。西側には井戸と池、東側にはフール(便所兼豚小屋)が残っています。
上江門家はとても大きな敷地に建てられていて(約600坪)、家格が高かったことがしのばれます。門から石畳がカギ型につくられ、ヒンプンへ至る空間に奥行きが感じられます。高さ60cm程度の低い石垣があり、フクギなどの屋敷林が植えられています。主屋の間取りは、東から台所、二番座、一番座という並びで、一般の民家とは逆転した間取りとなっています。
家主の生田(上門)加代子さんは、この古民家を地域の活性化のために活用したいとお考えで、そのご厚意により今回の古民家体験ツアーの開催場所として使用させていただきました。ご協力ありがとうございました。
なお、このツアーの模様は、2011年8月5日付の週刊かふうで(305号)も紹介されています。
■ 2011年8月5日付週刊かふう(305号)はこちらから(PDFファイルが開きます)
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