古民家を知る
古民家を見上げよう~棹縁天井編~
沖縄県では、お盆は旧暦でおこなわれますが、旧盆には仏壇のあるおじい・おばあの古民家を訪れる人も多いことと思います。
今回は、沖縄の古民家に立ち寄った際に手軽にチェックできる、古民家豆知識をひとつご紹介します。
まずは基礎知識
(1)古民家の間取りについて
沖縄の古民家は基本的に南向きで、東から一番座、二番座(士族や裕福な家の場合は三番座もあります)と並び、その背面に裏座がおかれていました。
一番座には床の間が、二番座には仏壇が配置されるのがふつうで、裏座には地炉(ジール)が設けられました。また、西側に竈を設けて台所とし、火の神を祀っていました。
右図は一般的な古民家の間取りを簡略的に示した図です。
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ポイント
一番座には床の間が、二番座には仏壇がおかれている。
(2)棹縁天井について
沖縄の古民家の天井は、棹縁(さおぶち)と呼ばれる細い角材(右図の白い矢印で示した部材)を、30~50cm等の一定間隔に並べ、その上に天井板を張った棹縁天井(さおぶち てんじょう/竿縁天井とも)形式が一般的です。
※改修等により棹縁のないお宅もあります。
今回の豆知識は、この棹縁の向きについてです。
ポイント
古民家の天井には、棹縁と呼ばれる天井板を支える部材がある。
棹縁の向きに注目
(1)一番座(床の間のある部屋)の天井
一番座の天井は、一般的に棹縁が床の間に対して直角方向に向いています。
この向きは、通常「床指し(とこざし/床刺し・床差しとも)」と呼ばれ、床の間を否定する(床の間を貫く)納まりとして本土では嫌われることが多いそうです。
が、沖縄ではそんなこと気にしないとばかりに、床の間に直角に向かう棹縁天井が一定の割合で見られます。
(2)二番座(仏壇のある部屋)の天井
一方、仏壇のある二番座の天井はというと…
上記写真は、一番座の棹縁天井の写真と同じ古民家のものですが、一番座とは違い、二番座の棹縁は仏壇に垂直には向かっていません。
沖縄の古民家では、一番座と二番座で棹縁の向きが違うのです。
理由についてははっきりしませんが、おそらく本土で床指しが嫌われるのと同じ理由で、先祖を大切にする沖縄の人は、仏壇に対して直角に棹縁を配置することを仏壇を刺すとして嫌ったのかもしれません。
以上、紹介した棹縁の向きについては、必ずしも全ての古民家に当てはまるわけではありません。しかし、仏壇に対して棹縁を直角に向けている事例が少ないことは確かです。
夏休みに入り、実家等に里帰りする機会も多いと思います。この機会に天井をチェックしてみてはいかがですか?