古民家保全・再生・活用の課題

古民家に対する意識の変化

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古民家は住み手だけの財産ではなく、それが所在する地域における景観的財産であるという意識が地域住民に共有されなくなっています。
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家が木造で古いことは恥ずかしい、洗練されていない、利便性が低いという意識が少なからずあります。
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家族のあり方が変わり(大家族から核家族へ)、住まいに求められるニーズにも変化が生まれ、家屋を受け継ぐという考え方が薄れています。

住まい手の意識・高齢化問題

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古民家が空き家になっていても「賃貸したくない」理由には、仏壇(位牌)を祀ることが重視されていることが挙げられ、古民家の活用にトートーメー問題が大きく立ちはだかっています。
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古民家に居住している人として高齢者の比率が高く、家を継いで住み続ける後継者の見通しが立っていないことが多いため、家主の死去をきっかけとして空き家となり、結果取り壊されるような事態が多く生じています。

法制度の不足・不備

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将来的に文化財となりうる古民家の実態把握が十分に進んでいません。過去にも調査が行われましたが、県内の木造建築の現存状況を網羅的に調査するものではなく、依然古民家の実態は不明なままです。
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古民家保全の有力な方法の一つとして文化庁の「文化財登録制度」がありますが、沖縄県では特に登録有形文化財(建造物)登録件数が70件(2009年末時点)と少ない状況です。
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建造物がひとたび解体されると産業廃棄物として扱われ、解体した古材の保管に関して廃棄物処理法に則した措置が義務づけられてしまいます。また、建築基準法では移築の定義がなく、新築時の規制がそのままかかることになります。

古民家活用の推進体制の不足・不備

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古民家を所有している人が、売りたい・貸したい・活用したいと考えたとしても、相談相手がいなかったりその方法がわからなかったりして、実行に移しにくいのが現状です。
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古民家や古材の活用を取り扱う窓口が明確化されている市町村がほとんどありません。また、一部の市町村では景観法への取り組みが進められていますが、古民家を景観資源として保全・再生するための具体策まで詰めた検討はあまり行われていません。

技術者養成の問題点

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伝統軸組工法で木造住宅を建築できる大工や職人がほとんどいなくなり、伝統技術の断絶が心配される状況です。
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伝統軸組工法に関わる設計士や施工者はほとんどが小規模な組織であり、自ら技術者養成などの対応を図る資金力が弱いことが挙げられます。
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伝統的木造建築技術や古材鑑定等技術を修得できる機会(研修、講習会など)がほとんどなく、あっても、技術継承には内容的に不足する、若手が集まらないなどの課題を抱えています。

古材活用の問題点

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古民家の解体、古材の加工・処理、保管・展示に手間と経費がかかり、販売価格が割高になります。そのため、古材が活用されることなく廃棄されています。
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解体については、その経費を工務店や設計士など古材を保管する側が負担することが多いのですが、利用されるかどうかわからないためリスクが大きく、どうしても取扱量が減ってしまう傾向にあります。
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利用価値のある古材を取得できる古民家が減っています。また、古民家を解体する大工や古材を扱える職人が減少しています。
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利用者に対しての古材に関する情報量が少なく、また供給側が情報提供するタイミングと需要側がその情報を必要とするタイミングが合わないことが多いといわれます。

古民家の補修・改修の資金不足

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家主が古民家を補修・改修して残そうと考えても、現状ではその金銭的負担は家主が負わなければならず、資金面の不足から保全を諦めるケースが多々みられます。
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従来、沖縄の古民家に用いられてきた県産材が手に入りにくくなっており、資源が少ないために高価であり、補修・改修費の増額に結びつくことが懸念されます。
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現在の住宅減税は新築物件が対象であり、古民家の改修などにはあまり適用できません。

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