取り組みの方向性

 古民家の保全・再生・活用に向けて、地域や各種団体、古民家の所有者はどのように取り組んでいくべきでしょうか、求められる対応の方向性について考えてみます。あくまで例示ですが、それぞれが取り組む際の目安となれば幸いです。

説明会、ワークショップなど話し合いの場をつくる

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空き家の活用策は多様にあり、貸し手と借り手の双方のニーズに合った方法も見出せることをまず家主に認識してもらう必要があります。地域の公共財として活用されつつ家主の都合にも合わせているような事例を紹介し、選択の幅を広げます。
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集落単位で古民家の保全・再生・活用の説明会等を開き、きちんとメリット・デメリットを伝えるとともに、その後も住民による話し合いの場を設けるなどして、地域全体の古民家への意識を高めていきます。
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管理が滞りがちな物件についてはボランティアの世話人を募るなど、集落や地域として少しでも手伝えることはないかということを真剣に考えます。荒れた古民家の補修に地域住民が参画しともに作業するユイマールの催しを実施するのも一つの手段です。
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沖縄の木造建築技術をこのまま廃れさせないためには、古民家の補修・改修をとおして技術を継承することが重要で、講習会や技術研修の機会をつくる・増やす必要があるでしょう。

古民家について気軽に相談できる専門家を養成する

     
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古民家を保全・再生・活用するためには、物件の調査・鑑定をし、災害対策も含めた補修・改修のアドバイスを行い、市民やNPO等との仲立ちをして活用プランを提示するような役割を持った専門家が必要だと考えられます。
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古民家を活用しながら保全を図るためには、まちづくり・景観づくりにいかしていくノウハウや技術が必要であり、建築士やコンサルタントを中心に、行政、NPO、各地のガイドの会、郷土研究グループ、大学生などが連携して、取り組みの輪を広げていくことが求められます。
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将来的には「古民家活用推進員」や「古民家マイスター」のような資格を設けて技術の質を確保することも検討しなければなりません。

古民家再生の資金を工面する

     
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活用を見据えた古民家再生の資金は業態などによっては多額になることが予想され、一般から出資もしくは寄付を募るいわゆる古民家ファンドを設立することも選択肢の一つです。

差益還元システムのイメージ

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当初は金融関係者、大学の研究者、行政の財務担当者などを集め、ファンドレイジングや金融工学の専門家を招いた勉強会を開くなどして、幅広く検討を進めるのがよいのではないでしょうか。
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コミュニティビジネスを生み出してその利益を還元することもめざすべき方向性です。古民家の景観も地域資源の一つというとらえかたをすれば、古民家を活用した利益の一部を一般の古民家の補修費として融資することも可能だと思われます。

古材ネットワークをつくる

     
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古材活用に関しても家主や消費者の意識を高める必要があり、古材活用の有効性についての情報提供を行うことが求められます。

古材取扱いの流れ

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売りたいとき・買いたいときに、古材に関する情報をすばやく受発信するシステムをつくることが重要です。そのためには情報提供できる人材の底辺拡大が必要で、地域住民が一次情報を提供できる環境づくりもまた大事なポイントになります。
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古材を流通させる際の大きな課題である倉庫の確保についても検討が必要であり、全県レベルで需給調整できるようになることが望ましいと考えられます。

推進体制をつくる

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古民家県全体に波及・拡大させていくためには、これらの事業を体系的に動かしていく基幹組織が必要だと考えられます。

推進体制の主な業務と推進体制

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所有者や地域住民から行政、建設業、観光業、福祉業まで広がる非常に多様な主体が参画する複合的な事業となることが予想され、非営利目的と営利目的の事業を峻別して適切にマネジメント(役割分担)していく技量も必要でしょう。

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